コーヒーを味わいつくす「テイスティング」のコツ

ゆったりした朝。気持ちのいい雨上がりの日差し。あちこちで芽吹く新緑。どうして日曜というのはこうも美しく、そしてコーヒーを飲みたくなるのでしょうか(笑)。

コーヒー屋を引退してから少したちました。知識や嗅覚がなくならないうちに、とっとと記憶を外部化しておきます。今回は「テイスティング」の話。

テイスティングって何?

先日酔っ払っていたとき、facebookにこんなコメント付きでワインの写真を載せました。

「鮮やかな深紅のラズベリーやプラムを思わせる香り、躍動感のあるキレと程良いコク。力強いグリーンの上に淡いブルーやピンクの花々が咲く、初夏の清々しいお花畑を思わせます。フルーティーで明るく元気なワイン。」

稚拙なコメントで申し訳ないですが、少しは味をイメージしていただけましたでしょうか?テイスティングは確かに「味わう」ことですが、もうちょっと詳しく説明するとこんな感じ:

テイスティングとは…
・味の違いを感じ取る
・味を言葉で表現する
・(バイヤーさんの場合)評価する
・違いの分かる大人になる!(笑)

ぼくは5年半コーヒーテイスティングをし続けることでテイスティングスキルを身につけました。このまま宝の持ち腐れになるのはもったいないので、ブログを使ってみなさんにお伝えできればと思います。ワインなど、他のもののテイスティングにも役立つようですし!

豆知識の出典。

本題に入る前に、これからみなさんにお伝えする知識の出典について明記しておきます。このブログには、当然社外秘の情報は書けませんが、下記「パスポート」から学べることを軸にして、Google先生や書籍・雑誌から学んだことを織り交ぜながら書いていきます。

ぼくがお世話になったスターバックスでは、現在でもコーヒーに関する情報がかなりオープンになっています。特にこちらに紹介されている「コーヒーパスポート」は秀逸です。コーヒー豆を購入するともらえるんですが、コーヒー豆のこと、生産や流通のこと、おいしいいれ方などが細かく記されています。

スターバックスのコーヒーパスポート

今日はその中から「テイスティングの4ステップ」と「コーヒーの表現のポイント」をピックアップします!

テイスティングの4ステップ

まずは形から入ってみましょうか。何をどう感じるかの前に、より感じやすい(笑)飲み方を試してみてください。

ステップ1:香りをかぎます。
コーヒーの味わいの8割は香りにあります(!持論ですが)。カップを軽く回すと香りが立ちます。それを逃さないように鼻を近づけます。目を閉じると嗅覚に集中できます。香りが分からなくなってきたら、自分の腕の香りでリセットします。

ステップ2:すすって口に含みます。
縁側でお茶をすするように。スプレーのようにコーヒーを噴射し、口の中にまんべんなく行き渡らせます。同時に、口に入ってきた瞬間の印象も覚えておきます。(パーンときたか、ふわっときたか、とか。)

ステップ3:舌の上に広げます。
舌にはいろんな場所にセンサー(甘さ、塩味、酸味、苦みなどを感じ取るもの)があります。刺激を感じる部分を探してみましょう。最重要ポイントは2つ。すっきり感を意味する酸味(舌の両側で感じます)と、余韻の強さを意味するコク(舌の奥の方で感じます)です。

ステップ4:自分の言葉で表現します。
飲んでない人が味をイメージできるように。これが一番難しいところなので、続けて詳しく書いていきます。

コーヒーを表現するポイント

自分の言葉で表現するポイントも、同じように4つあります。

ポイント1:香り (Aroma)
どんな香り?という質問は、何の香りに似てる?という質問に置き換えましょう。香りを表現するうえで主に用いられるのが、他の食材や自然のものに例えることです。
フルーツ(ベリー系、柑橘系など)、スパイス(ペッパー、シナモンなど)、ハーブ(草全般)、フローラル(花束とかお花畑とか)、土の香り、木の香り(杉とか)。。。
コーヒーはもともと農作物なので、そういった香りがするのは不思議なことではないんですね。目をつむって香りをかいで、記憶をたぐっていきましょう。ヒントが見つからない時は、スーパーの野菜売場や香辛料コーナーを思い浮かべて。

ポイント2:酸味 (Acidity)
酸っぱさじゃないですよー!酸っぱいコーヒーは品質が良くないだけです。コーヒーの酸味は、言い換えれば、飲んだ後のすっきり感とかキレのことです。酸味が弱い(Low)、ほどよい(Medium)、強い(High)なんて3段階で表現します。

ポイント3:コク (Body)
苦さじゃないですよー!苦くて飲みづらいコーヒーも品質が良くないだけです。コーヒーのコクは、言い換えれば、飲んだ後の余韻や舌の上で感じる重みのことです。コクが弱い(Light)、ほどよい(Medium)、強い(Full)の3段階で表現します。

ポイント4:風味 (flavor)
カップ全体の印象です。穏やかなとか、バランスのとれたとか、重厚なとか。色や風景で表現することもあります。

プロのコメントを見てみましょう!

プロのテイスティングコメントは、身近なところにあります。そう、商品説明です。今回はスターバックスのコーヒーラインナップの中で、最も個性的なコーヒーの一つである「ケニア」のコメントを転載します。

1.ケニア(スターバックス公式サイトより)
「グレープフルーツ、ブラックカラントや新鮮なブラックベリーなどの風味とジューシーな酸味やしっかりとしたコクが複雑に幾重にも重なった、大らかさが特徴です。」

Wow!! カップを口に近づけた瞬間の驚きと、味わいの深みが、見事に表現されていますね!すげー。

So what!? テイスティングに意味はあるのか?

テイスティングは、ぼくたちが生きる上で全く必要ないものかもしれません。でもこれを知っていると、たった一杯のコーヒーやお酒が、まるで高級レストランの食事のように味わい深く感じられます。

一般的に、一杯のコーヒーができるまでには、少なくとも30人以上の手がかかっていると言われています。そんな農家やバイヤー、加工業者のみなさんに敬意を表しつつ、おいしいコーヒーを最大限に楽しむ方法の一つがテイスティングです。

みなさんもぜひ、次においしいコーヒーやお酒に出会ったら、周りの目をしのんで「テイスティング」やってみてください! ※お酒をすすって飲むのはちょいと危険です。慣れるまでは無理しないでください!

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